【2020年3月】籠りがちなこの1ヶ月の間に読んで印象に残った本 6冊

コロナウイルスの影響で、元々インドア派だった私はさらに外出しなくなってしまいました。

ゲーム、PC、テレビなんかはたいへん捗るのですが、いかんせんどれも液晶画面を凝視するもので、非常に目が疲れます。目に入ってくる情報量も多いので脳も疲れます。

こんな時は紙の本が色んな意味で癒やされます。

そんな1ヶ月の間、読んで印象に残った本6冊を紹介します。

ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか 

空想科学読本のアメリカ版、といったような感じの一冊。

同名のウェブサイトに寄せられた、読者からのしょうもない質問やサイコパスな質問を、元NASAの研究者である著者が全力で回答したものがまとめられています。

一番ツボだったのは、「ステーキを大気圏突入時の熱で焼くためには、高度何kmから落としたらいいか」でした。

質問に答えるため、シミュレーションを駆使したり、冷戦時にまとめられたICBMの大気圏再突入時の温度上昇の論文を集めたりし、さらには料理レシピサイトから肉の伝熱特性を調べるなど、徹底的な情報収集を行って得られた回答なので、説得力しかありません。笑

棒人間風のイラスト(ウェブサイト参照)も可愛くて、ブラックジョーク感満載です。

ルワンダ中央銀行総裁日記

昔誰かに薦められて、しばらく読んでいなかったものの、最近やっと読むことができた一冊。

「日記」とタイトルに入っているので、マイルドな本かなと想像していましたが、金融や財政の説明がバンバン記述されていて、真面目に読むのはかなり読み応えがありました。

ルワンダの経済改革が主な内容となっており、法律や税制の改革内容とその理由が丁寧に書かれています。

学校で習った経済の理論は、現場ではこのように使われるのかと、読んでいて面白かったです。

 

途上国支援の厳しい現場に対し、情熱的かつ冷静に取り組む著者の姿勢は、まさに文中にも登場した"cool head but warm heart"であると感じました。

 

その後のルワンダですが、折角経済発展の礎を築いたにも関わらず、直後に紛争が起こっているそうです。その内容は増補に示されていて、読んでいて胸が痛みます。

しかしその後は再建に成功し、アフリカの中でも抜きん出て発展した国になっているらしいです。2019年7月には日本の支援を借りつつ人工衛星を開発し、その後宇宙ステーションのきぼうを通じて軌道に投入しています。ルワンダすごい!

Togetterでも面白くまとめられていました。
 

田中角栄 人を動かす話し方の極意

以前の記事で紹介した、カーネギーの「人を動かす」と関連付けられているのかなと思って読んでみましたが、そうではなく、田中角栄の圧倒的リーダーシップをまとめた本でした。

こんな人が総理大臣だった時代があったものかと、目からウロコばかりです。

豪快かつ丁寧な仕事っぷりは読んでいて痛快。著者の齋藤孝先生の文章も洗練されていて、非常に読みやすいです。

まえがきの表現を借りると、自分も「田中角栄的」なるものを必要としていて、それを身に着けたいという気持ちがあるのだな、と気付かされました。

現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート

フェルミ推定をなんとなく程度しか知らなかったので、わかりやすそうなのを適当に選んで出会った本。

就活向けの本ですが、フェルミ推定をパターン分けして体系的に分析しています。

都内の電車の所要時間から、東京都の面積を見積る、という小技は目からウロコでした。

 

具体的なデータよりも、モレなくダブりなく数え上げる、ということに重きを置いています。

このセンスは、データだけは簡単に入る情報社会では、とても大事だと思います。

ググれば大概のデータは手に入るけれども、欲しい答えを得るためにどのようなデータをどのように数え上げるか、これをミスると見当違いの答えになってしまうからです。

ブルネイでバドミントンばかりしていたら、なぜか王様と知り合いになった。

ブルネイを始めとした東南アジア諸国は、バドミントンが非常にポピュラーだそうです。

大使館で働く著者が、睡眠時間を削ってまでバドミントンに明け暮れていたら、王族とどんどん仲良くなっていった、という実話。

人脈の力を力強く語っています。

「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ

地球温暖化問題とその対策に対し、待ったをかける一冊。

当たり前のように使われる様々なデータ(地球の平均気温やCO2濃度など)が、どのように測定され、補正されたか、あるいはより大きな時間スケールで見るとどのようなグラフになるか、いろいろな意味で目からウロコでした。

一般に、研究に取り組む際、データの恣意的な解析は当然「やってはいけないこと」とされています。しかしながら、補正のルールや時間スケールの切り取り方など、ややグレーな所があるのではないか、ということに気づかされます。

 

もちろん、この本の内容を鵜呑みにして終わってしまっては良くないと思い、IPCCの報告書を見るためウェブサイトにアクセスしました。

しかしながら、報告書の分量の多さとその構造の複雑さに挫折。

 

また、「LEDで電気代を節約した場合、浮いたお金で他の経済活動を活発化させたら、CO2排出が増える」という指摘も盲点でした。

ただし、エコでないビジネスで経済活動が活発化することを考えると、CO2排出には貢献している、という反論もあり得ると思いました。

何より大事なのは、自分がこれまでエコや地球温暖化問題に対して、著者のような疑問や反対意見をほとんど抱くことなく、鵜呑みにしていたという点に気づいたことです。自分の反省すべき点と言っても過言ではありません。

 

その他、1970年頃は地球寒冷化を示唆するデータが観測され、社会問題として議論されていたという話も驚きでした。

 
4月に読んだ本は↓の記事。