【2020年6,7月】まだまだ籠りがちなこの2ヶ月の間に読んで印象に残った本 4冊

緊急事態宣言が解かれ、一週間のうち3分の1くらいは以前のように外出するくらいになりました。

しかし、残りの3分の2は相変わらず自宅に留まるような生活です。

自宅で仕事することが定着しつつあるのと、依然として外出することにはリスク伴うという意識があることから、外出頻度は3日に1回くらいに収まってしまっています。

 

家の中では相変わらず読書とスプラトゥーンを交互に繰り返すような生活で、ややペースは落ちたもののコツコツといろんな本を読んでいます。今回もいくつかまとめました。

 

(前回のまとめ)

bricolage.hateblo.jp

独創技術の発想法

5月に紹介した「電子立国日本の自叙伝」の中に登場した西澤先生に関心を抱き、著書を探して見つけたのがこの本。

今まで知らなかったのを恥ずかしく感じるくらいに、様々な業績を残していることを学ぶことができました。半導体デバイス、光ファイバーなど、現代では欠かせない技術の数々です。

 

本書では、これまでの研究開発に関するストーリーや、当時の(と言っても現在にも十分当てはまると思う)日本の科学技術に対する課題を指摘しています。

「それまでは外国で発表されている技術を真似て開発していたが、今後は、外国でまだ開発されていない新たな技術に目をつけて開発することが必要だ」というようなことを説いています。

そのためにも、「そのような新たな技術への目のつけ方や、開発の仕方を勉強して練習しなければならない」というよう提言が印象的でした。

本書は80年代に書かれたものですが、現在でもそっくりそのまま当てはまる問題点だと思います。

 

また、研究指導に対する考え方も心に残りました。

簡単にまとめると、「人が人を指導するというのは、本来できない。それができるのは神だけ。教育する時は『本当は神様でないとできない』ということを頭において謙虚に努力すべき」という考えだった。

人に指導する時には、是非とも頭に入れておきたい姿勢ですね。

 

書くことについて

誰から薦められたか忘れたくらいの遠い昔に推薦された本。

スタンド・バイ・ミーの原作小説の著者 スティーブン・キングによる、自伝やエッセイのような一冊です。

 

小説家デビューまでの道のりや、小説を書くことがどういうことなのか、これに対する考え方などが綴られています。

また、文章作成におけるルール・心構えのようなものまで簡潔にまとめられているのも面白かったです。

小説を書く際に重要となりそうな、副詞はどう使えばよいのか、カギカッコはどう使えばいいのか、ボキャブラリーの種類が雰囲気にどのような影響を与えるのか、といった諸々のレッスンが書かれています。

以前僕が論文作成技術の記事で紹介した、"The Elements of Style"についても言及しています。

"The elements of style"は基本的なルールについてまとめられた名著で、

一方の「書くことについて」ではより実践的な書き方がまとまっている、という違いがあります。

 

その他、文章校正に対することわざが心に残りました。

最初に書くときは、ドアを閉めて書け。見直すときはドアを開けろ

つまり、最初に作成するときは、自分の世界に入って集中して書き上げます。校正する段階に入ったら、読む側の視点に立ち、他人が読んでも読みやすくすることを意識する、

という意味です。

日本史で学ぶ経済学

歴史上の出来事を使って、経済学をより具体的に説明した本。

金本位制や仮想通貨といった、教科書を読むだけでは分かったようで分かっていないことが多い内容を、様々な例を使って説明してくれています。

 

例えば、昭和金融恐慌の取り付け騒ぎのエピソードを通じて、銀行の仕組みを説明したり、

織田信長の楽市楽座の例を使って、市場のプラットフォームの役割を解説したり、

社会の授業で勉強したことをより深め、かつ経済学がどの時代でも通用するんだということがよく分かりました。

 

その他にも、一般企業と財閥の違いを通じて、経営者と株主の役割を解説した章も面白かったです。

高校(中学だったかもしれない)の時に習った「所有と経営の分離」ってこういうことだったのか、と10年以上経て、ようやく合点がいった気がします。

わいたこら

新庄剛志氏の自伝本。

波乱万丈、という表現が適切かどうかは自信がないですが、スーパースターになる前、なった後、そして現在と、想像もつかないエピソードの数々が綴られています。

スポーツニュースだけでは知り得なかった、著者のこれまでの経験と、持っている人生観に度肝を抜かれました。

見習いたい点はいくつもありますが、中でも、とにかくポジティブであること、そして隠れた努力を怠らないこと、この2つだけは特に大事にしたいと強く感じました。

 

文章のスタイルも独特でした。

口述筆記で作られた本ということも関係しますが、常に読者に向かって訴えかけるような、堅苦しさが一切ない書き方で、読んでいて目が離せませんでした。

 

どんな自己啓発本よりも、ポジティブに努力をしようという気持ちになれる一冊。