最近のヒット作、グロくない?
鬼滅の刃が大人から子供まで大ヒットしています。
私自身、一通り鑑賞して、炭治郎の心の清らかさに感動しましたし、ジャンプの原則「友情・努力・勝利」を見事に含んだ物語で、素晴らしい作品だと思いました。
一方で、いくら物語を進める上で必要であったとはいえ、毎話のように出てくる残酷なシーンの描写は過剰で、エグいと感じました。
描写される血の量も多いです。昔「ボボボーボ・ボーボボ」がアニメ化された時、原作と比較して血の描写がなくなっていたので、子供向けアニメは血を描かない方針になっていくのだろうと思っていましたが、そんなことはなかったようです。
流行に水を差すつもりはまったく無いのですが、こういった顕著な変化にどのような要因があるのか気になってしまう性分であり、最近はこの社会現象の要因ばかりを考えています。
また現実的な問題として、もし僕の子供がそういったアニメ作品を観たいと言い出した場合に、観せてしまっていいのかどうか、判断に困ってしまいそうです。
インターネット上でもそのような声があり、対応に苦心している親は多いようです。
こちらのアンケート記事では、4歳以上の子には過半数の親が見せているという結果だったようです。(映画はPG12です。念のため)
自分が子供の頃流行っていたのはもっとマイルドな内容だったような...?
僕が子供時代に流行していたアニメ作品は、総じて、デジモン、ポケモンといったファンタジックな作品や、ワンピースのような爽快な作品がメジャーだったと記憶しています。
勿論青年向けは相当エグいのが流行っていましたが、小学生や未就学児の世代も含んだ流行になった作品は無いと記憶しています。
(そもそもアニメ作品の数が少なかった、という要因もあるかもしれませんが)
なぜ鬼滅の刃が大ヒットしたか、という考察はインターネット上で既にありふれています。
それらをざっと読んだ印象では、「グロいからヒットした」というよりは、「グロいにも関わらず大ヒットしている」という関係を見出している内容が多い印象でした。
グロが受け入れられる/好まれるのは社会が潔癖になってきたから?
検索していく中で、興味深い記事を見つけました。
特に納得のいった文章を引用します。
「体験したくてもできなかったグロテスクな世界」が漫画に描かれてあれば、そこに興味を引かれるのは、ある意味当然であり、健全な心理なんです。
社会環境が「清潔」になっていった結果、バランスを取るために逆に「グロテスクなもの」を見たくなる、という考えだと私は解釈しています。
そして、悲観的すぎる考えかもしれませんが、
この現象が意味しているのは、いまや小学生すら社会の潔癖さを感じるようになってしまっているということではないか、
という疑問も生じています。
「進撃の巨人」の中で、とても興味深いセリフを見つけました。とある残虐な行為を続ける悪役の発言だ。
ネタバレにならない程度に引用します。
人は残酷なのが見たいんだよ。
(略)…平和だろ?大変結構な事だが、何か物足りんのだろうなぁ。生の実感ってやつか?
(進撃の巨人 第87話)
このセリフを目にして、不思議とドキッとしました。
自分の中にも心当たりがあった、ということだと思います。
今後も潔癖とは真逆の、グロテスクなものが好まれるのでしょうか。それとも無相関に、流行の内容は移り変わっていくのでしょうか。
とても気になっています。
私自身、「○○が△△だから社会全体が××になっている!」とひとくくりにしてレッテルを貼るような考え方は好きではないのですが、今回の記事の内容はそれに近い論調になってしまいました。
あくまで、もしかしたらこういう要因もあるのではないか、という程度に考えています。
それにしても、このように社会現象を研究対象として分析するのも、新しい発見が尽きず面白いですね。