経験則に頼らず、結婚生活をアップデートしたい
私は結婚生活を始めてから日が浅く、夫婦円満の秘訣なんかは全く持ち合わせていません。
2人の生活の中で生じてくる試練や、互いに対する不満というものの解決法は、手探りで探していく日々でした。
インターネットやテレビ番組、あるいは周囲の人々から、夫婦円満の秘訣だとか、うまくいく家庭のコツだとか、情報は入ってきますが、これらはどれも経験則と言ってよいものばかりです。
そんな中、友人から勧められたこの本「夫婦・カップルのためのアサーション」は、
アサーションという学問やカップル・セラピーの観点から、夫婦や家族・親戚が深く成熟した関係を持てるようにするための根本的な考え方を、やさしく説いてくれるユニークかつ貴重な本でした。
特に印象に残った内容と、読んだ感想を紹介します。
子どもの誕生で夫婦の関係が悪化した、と感じている人は5割にも達する(第1章)
結婚前とは異なり、家庭を持った段階では、家族構成の変化によって、それぞれの役割が変化することなどから、夫婦関係にも変化が生じ、トラブル(要は夫婦喧嘩など)が生まれやすくなるそうです。
その他にも、両親や親戚の関係も変化することがあり、
その都度、夫婦には克服すべき「発達課題」を乗り越えなければならなくなります。発達課題に対応し、解消できないと、最悪のケースでは離婚という危機すらもたらされてしまうと言います。
この危機を乗り越えるためには、後述するように「自分も相手も大事にする自己表現」でコミュニケーションを行い、対応していくのが大事だと私も思います。
「結婚するならこういう相手が良い」「こういう子どもが生まれてきて欲しい」というような「相手に求める姿勢」はNGで、
相手に合わせて自分も変化対応していく姿勢が基本的に重要なのでしょう。
「親密さ」への恐怖(第2章)
親密さとは、単に仲が良いだけでないそうです。素直に気持ちをぶつけられるような、深い成熟した関係があるべきなのですが、
現実にはそれを妨げる様々な心理的要因(恐れ)があると言います。
例えば、以下のような恐れがあると述べられています。
- 依存・・・依存に対する恐怖を持っている人は、パートナーに頼ることを避け、なんでも自分で解決しようとする。逆に、パートナーから頼られることに困惑してしまい、パートナーに拒絶感を与えてしまうことがある。
- 自立・・・これとは対照的に、自立することに恐怖を覚え、依存的な欲求が満たされるていないと安心できなくなる。
- 優しさ・・・優しさを望んでいるにも関わらず、パートナーと不満をぶつけ合う「クセ」ができてしまっており、攻撃的な振る舞いをやめられない。
- 怒り・・・パートナーがちょっと愚痴ったり不満を言ったりするだけで、自分が怒られた、否定された、と感じる。結局はコミュニケーションが閉ざされてしまう。
この「恐怖」は、私自身にもいくつも心当たりがありました。
また、周囲の夫婦を観察していて、きっとこの状態なのだろうと感じるケースもありました。
きっと誰にでも当てはまってしまう状態なのだろうと思います。ぜひチェックしてみてほしいなと感じました。
アサーションとは
アサーションとは、1950年代にアメリカで生まれた考え方とスキルで、
単に相手を動かすのではなく、自分の気持ちや考えを、TPOに応じて適切に伝えることを含んでいるのだと言います。
相手を思い通りに動かすような単純な対人スキルだけでなく、「自分も相手も大事にする自己表現」だそうです。
アサーティブな伝え方の枠組み的なものとして、DESC法(D: Describe E: Explain, Express, Empathize S: Specify C: Choose)という考え方があるそうです。
簡単に書くと、まず初めに客観的な事実を伝え(Describe)、自分の主観的な気持ちを伝え(Express)、建設的な具体案を示し(Specify)、それに対する相手からの返答を踏まえる(Choose)という流れです。
これを意識するだけでも、夫婦間の話し合いや意見対立はかなり円満に行くだろうなと感じました。
そして何よりも、夫婦喧嘩を恐れずに、落ち着いた話し合いができそうだという自信を持てたのが一番心強いですね。
本の中では、後半、アサーティブな考え方や、相手への伝え方・自己表現などについてより詳しく説明されています。
読んでいく中で、自分が知っている経験則が「ああ、これってこの心理に当てはまるのか」と体系化されていく感じがしました。
そして何よりも、結婚生活に対して自信をつけられるようになった気がします。