ガチガチの理系だけどMBAのテキストを読み始めてみた3 | ピーター・F・ドラッカー著「マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則」

はじめに

前回のマーケティングのテキストに続き、今回読んだのは、比較的知名度の高いドラッカーのマネジメント、のエッセンシャル版。

エッセンシャル版ということで、要点が矢継ぎ早に書き並べられているような構成となっています。(それでもボリュームはあり、ページ数は300近いです)

なので、マネジメントという分野に対して体系的な説明を求めていた自分にとっては、ちょっと物足りない感覚でした。

満足行くまでドラッカーの教えを読み解きたいのなら、「古典」の方を読んでいくしかないでしょう。そういう意味で、「MBAのテキスト」というこの記事はタイトル詐欺かもしれません。

 

マネジメントってこういうことか!

マネジメントに関して、非常に多様な観点から説明と議論がなされていました。組織をまとめて運営するというだけで、これほどにも多くの考え方があるのかと、舌を巻いたほどです。

現代の出来高制などは、テイラーが100年以上前に示した科学的管理法が基礎となっていて、この科学的管理法は長らく変わっていないという話や、

近年盛んに言われる「生産性」を上げるためには、責任の組織化が重要だという話などは特に印象に残りました。権力を組織化するのではなく、業務内容の責任を分担・組織化することによって、従業員が自身の責任感から改善に取り組むようになるという、確かに説得力のある内容でした。

 

また、研究職にとって特に関連性が高い内容として、「知識労働者」というテーマが記憶に残りました。

本によると、知識労働者は、(階級に関わらず)それぞれがマネージャーの役割を部分的に持っているそうです。

 

研究室に当てはめて考えてみると…

例として、大学の研究室のスタイルを考えるとイメージしやすいと思います。グループによってある程度の違いはあるでしょうが、各メンバーが自分の研究テーマに対して責任(=自身の卒業、研究業績)を明確化されているのが一般的だと思います。

その責任の下、各々が自分の研究を遂行するために必要な策を講じるなど、自然とマネジメントが起こっていきます。

研究活動は上から降ってくるものではなく(雑務は降ってくるけど)、自発的に計画を立て、必要に応じて他者と連携し、目標達成のために実行を繰り返していく、というのが理想と言えます。

 

研究グループ全体の運営の責任はトップにありますが、個々の研究テーマに関してマネジメント能力を求められるのが研究職の特徴だと感じています。

(実際のところは、学会やら論文やら、締切に追われる日々で忙殺されてしまっていますが…)

 

こういうのは自然と身に付く感覚であって、いちいち意識する程のことではないかもしれませんが、

研究グループのパフォーマンスが低い時には、この視点から再考してみるのも良いのでは、と思いました。