理由はわからないが、とにかく苦手だったリスニング
私は学生時代からずっと、英語のリスニングを苦手分野としています。
研究生活では英語を使う機会は多く、リーディング、ライティング、スピーキング、リスニングどれも必要になってきますよね。
読むことと書くこと(例:学術論文や英語メール)で困る事はないですが、聴いたり英会話したりする場面(例:国際会議や留学生との会話)では、いつも冷や汗をかいています。
苦手意識は10年以上続いており、高校生の頃から、
「スクリプトがあれば簡単に聴き取れるのに、スクリプトが無いと何を言っているか全くわからない」
というような症状に悩まされてきました。
シャドーイングやディクテーションといった訓練はよく知られており、当然試みたことはあります。
しかしこれらの訓練は「なぜ自分が聴き取れないのか」という点を教えてくれるものではないため、何回繰り返しても一向に上達を感じられませんでした。
その結果、自分にとってはかなり効率の悪い学習法になってしまっていました。
とりあえず暇を見つけては英会話ラジオを聴いたり、字幕なしで英語の番組を観たりするよう心掛けてきたものの、先の見えないトレーニングに常々ストレスを感じていました。
自分の問題点を教えてくれる「英語リスニングのお医者さん」
これを克服するために様々なテキストを探してきたのですが、最近見つけた「英語リスニングのお医者さん」は、
リスニング能力に必要な要素を分類し、かつ巻頭の「診断テスト」で自分に足りない要素を教えてくれるという、
自分にとって非常に斬新で、ありがたいテキストでした。
Part 1 では、24題のディクテーション問題に取り組む。
解答を見て丸付けを行う。各設問が「①短縮」「②連結」「③脱落」「④同化」「⑤弱形」「⑥変形」「⑦数字」「⑧カタカナ英語」どれかに対応しています。例えば、①短縮 に対応する設問を多く間違えた場合、自分が音の短縮を苦手としている、ということが分かります。
ちなみに①~⑧それぞれの分類の意味は、下記のようになっています。
①短縮…2語が結びつき、短縮形となったもの。I'mやYou'llなど。
②連結...直前の単語の子音によって、直後の単語の発音が変わるもの。Join us → ジョイナス など。
③脱落...子音が連続した場合に発音されなくなるもの。
④同化...子音+youのような場合に、1語のように発音されるものなど。Miss you → ミシュー など。
⑤弱形...冠詞などの形式的な単語の発音が非常に弱くなるもの。
⑥変形...tが母音に挟まれるとラ行っぽくなるものなど。Letter → レラー など。
⑦数字...数字の発音。
⑧カタカナ英語...日本語で使われるカタカナ語と、英語での発音が大きく異なっているもの。
①~④は一般にリエゾンと呼ばれるものですが、この本はそれをさらに細かく分類していて、分かりやすかったです。
自分の場合、以下のような採点結果となりました。
丸付けをする前は、本当に自分の課題点が分かるのか半信半疑だったのですが、結果を見ると明らかに「②連結」に偏っていました。
つまり、自分が英語をスクリプト無しに聴き取れない一番の原因は、この「連結」に自分の耳が対応できていなかったためだったというのを、初めて知ることができました。
Part 2 では、①~⑧の各テーマ毎に、レッスンと練習文が用意されている。
レッスンでは、例文と共に発音のルールが説明されます。練習文は、難易度ごとにLevel 1から3まで10問ずつ用意されており、ステップアップを感じられます。
全部で8テーマありますが、Part 1 で明らかになった自分の弱点だけを重点的に読めばよく、時間的な負担はほとんどありませんでした。
Part 3 では、再びディクテーション問題が36題用意されており、レッスンの成果を確認できる。
さすがに、Part 2 に取り組んだだけでいきなり全問理解できるようにはならなかったのですが、
ディクテーション形式の問題に取り組むことで、着実な成果を確認できました。
巻末には、さらなるトレーニング用に、1.5倍速の例文も収録されていて、内容に物足りなさを感じることは全く無いと思います。
継続学習しやすく、成果を実感
発音のルールを読む→例文で練習する→ディクテーションで確認する という反復練習がやりやすいので、今でも定期的に取り組んでいます。
さらに海外出張や試験の直前には、1.5倍速の例文パートで耳を慣れさせておくという使い方もできます。
おかげで、ネイティブの発音も少しずつ聴き取れるようになったと実感しています。
自分がこれまで取り組んだリスニング対策の中で、もっとも時間効率の良い手段だったので、
同様にリスニングに苦しんでいる方は、試してみたら役に立つかもしれません。