↓のシリーズの第2回
事典のような構成
もともとは、マーケティングに関するテキストを読むつもりでいました。マーケティングの体系的なテキストは、「マーケティング・マネジメント」の方の本になり、本来はこっちを読むべきかもしれません。
しかしながら、この本は1000ページ(!)近くあるらしく、さすがに移動の合間に読むのは難しかったです。
一方、この「マーケティング・コンセプト」は、その名の通り基本的なコンセプトに重点を置いています。実践するには「マーケティング・マネジメント」をまず理解すべきですが、まずベーシックな考え方を知るためには「マーケティング・コンセプト」で十分なようです。
(誤解を避けるため付け加えておくと、初心者だけを読者層にしているのではなく、既習者がその知識をより時代に即したものに修正するということも目的としています(まえがき))
説明本というよりは、事典のような構成に近いです。アルファベット順でキーワードが並べられており、それぞれのキーワードに関する本質的な意味・よくある間違い・具体例が説明されています。
また、それぞれに関するビジネス界の名言が、ほとんどすべての項目において紹介されています。真似して使ってみたくなるような、面白い名言ばかりでした。
先週読んだ「競争戦略」では、いかにターゲットとする顧客を絞り込むか、という点が印象に残っています。
一方、この「マーケティング・コンセプト」では、顧客とどのような関係を持つか、という話に多く触れられていました。
例えば、広告をどれだけ打つか、どのようなセールスを行うか、といった話題です。
前書とセットで読んだことで、理解が深まったような気がします。
SNSが普及した今、どのようなマーケティングが広まるか
この本が出版されたのは2003年であり、まだインターネットが普及した頃の時代であります。
本の中でも、インターネットの影響は、販売方法の変化や業務効率化といった内容に留まっています。
(それを考えると、もっと最近書かれたマーケティングの本も読んだほうがよかったかな、という気分になります。だが、基本的なコンセプトは変わっていないはずです)
いまのインターネットを見てみると、(1) 大規模かつ多様なSNSの普及 (2) レビュー評価の重要性 が、ここ数年で特に大きく変化した点だと感じています。
(1)の影響で、例えば新製品を各インフルエンサーに配布して、それぞれに発信してもらう、といった手法が広まっています。最近では、漫画家が映画の感想漫画をTwitter上にアップする、という方法が話題となりました。
(2)については、例えば旅行に行くときは、観光地・宿・レストランの評価を、TripAdvisorなんかで調べずにはいられなくなってしまったのは、私だけではないはずです。レビューが客の行動に重大な影響をもたらしているのは間違いないなと思います。
一方で、いまレビューを見るときは、偽レビューの可能性を常に考慮に入れる必要も出てきています。
こういうニュースばかり見ていると、モラル・ハザードの様相を呈しているんじゃないかと、かなり悲観的になってしまいますね。
それでも、従来のTVCMばかりの広告よりは、多様で効果的な販売方法が可能になってきたのも事実です。今後、さまざまな面白いPRが現れてくるのを楽しみにしています。
まとめ
マーケティングの特徴は、下記のように序文に書かれています。
1日あれば学べる
使いこなすには一生かかる
ありがたいことに、マーケティングが無用になる日は永遠に来そうもない
社会が変化し続ける中で、売りたい商品の社会への送り出し方も変わり続けるのだろう、というのが一番の気付きでした。