情報過多のいまの時代、相手の関心を引き、分かりやすく伝えられる文章を書くスキルは、ますます重要になってきたと感じています。
そして理系の大学生・大学院生の場合は、学会の予稿、卒業論文、講義のレポートなど、とにかく日本語文章を書く機会が多いです。
やりたい研究をストップして作文作業に取り組むのは、非常にストレスですよね。
スムーズに作文を終わらせて、やりたい研究を再開するためにも、作文技術は身につけておきたいものです。
文章術は意識しないと向上しない
研究室に配属されると、先輩や教員から文章指導を受けることもありますが、それだけで高いレベルに達することは稀だと思います。
数あるスキルの中で、作文のスキルは特に上達しづらく、また進歩が分かりにくい技術の一つだと私は考えているからです。
やみくもに書いても身につけられず、また、どうやって上達できるのかも分からないのが普通でしょう。
文章トレーニングの難しさの一つに、自分の書いた文章に対してフィードバックを得る機会が滅多に無いという点が挙げられます。
スポーツの自主練と同様、誰かからコーチングを受ける機会はなかなか無いですよね。基本的には自分との戦いとなります。
このブログでは、これまで、文章術について複数の切り口からまとめてきました。
参考になれば幸いですが、それでもなお「一朝一夕で身につけられるものではないな」と常に痛感しています。
文章術の本を読むのが有効
作文技術の向上方法として、優れた文章をたくさん読む、ということがよく言われます。
それに加えて、優れた書き手による文章の技術について書かれた本を読むことも作文技術上達の近道である、私は感じています。
これまで、事ある毎に文章術の本を手にとってきました。
各分野の名人が、文章を書くコツをまとめてくれています。
「伝える力」では、情報整理や言葉選びなど、専門的内容を専門外の人に伝えるためのコツが特に参考になりました。
「理科系の作文技術」では、特にレポートや論文の組み立て方が印象に残っています。
「書くことについて」では、長い文章を書くときの心構えや校正のポイントが勉強になりました。この記事でも触れています。
それぞれ、文章術の名人による本なので当然読みやすいですし、読むたびに新しい技術を身につけられると感じます。
日本語の文章だけでなく、英語論文でも同じことが言えます。
「The Elements of Style」では、細かい英文法のルールが丁寧にまとめられている名書です。よく引っかかる誤用も載っており、「べからず集」として手元に置いておきたい一冊です。
文章術の名著を一冊にまとめた本が出た!
今年になって、素晴らしい本が出ました。
「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた」という本。
著者自身による作文ノウハウだけに加えて、過去に出版された各分野の名人による文章術の本100冊を分析し、
定量化・ランク付けがなされています。
なので、内容の説得力が半端ないと感じました!
もちろん、先ほど紹介した本の一部も100冊の中に含まれています。
分野の違いを超えて共通する作文技術のエッセンスをうまく抽出している、と思いました。
著者によっては、作文方針の意見が正反対に割れているポイントもありますが、このような意見が割れた部分も紹介しており、読んでいて興味深かったです。
単純に多数派の意見をまとめただけではなく、両意見の長所をどちらも紹介しているので、文章術の引き出しが増えそうだなと感じました。
また、文章そのものだけでなく、レイアウトや余白の使い方といった、ブログやホームページ構築にも役立つ情報が多いので、いろいろな場面で役立ちそうです。
文章術を身に着けていると、伝えたいことをスムーズに書き出すことができます。
楽しく作文できるようになるためにも、文章術の勉強をこれからも続けたいです。
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