話題が尽きない西之島
2013年に激しい噴火で陸地が急激に拡大した西之島。
6年経った今でも噴火活動が続いているらしく、時折この島の状況に関するニュース記事を目にします。
ほぼ全域が溶岩に覆われたことで島の生物が一旦死滅し(「生物相がリセットされた」と言うらしい)、そこからどのように生き物たちが再繁栄していくかが注目されているそうです。
(2020年1月13日加筆:あの忌々しい茶色の昆虫が噴火を生き抜き、現在繁殖していることが11日のニュースで報じられました。まるでテラフォーマーズの世界。恐るべし生命力…)
テレビでも盛んに取り上げられ、西之島での調査の様子を特集した、3〜4年くらい前の番組も記憶に残っています。その番組(Nスペとダーウィンが来た!のどっちかだった記憶)では、空からの観察で、ウミドリの姿が確認され、調査団のメンバーが大いに盛り上がっているシーンが印象的でした。
専門外の私には、ウミドリの姿だけでなぜこんなにも盛り上がれるのか、いまいち分かりませんでした。
しかしこの本で語られている、島と生き物の特別な関係を知ることで、西之島の調査がなぜエキサイティングなのか、理解できてきます。
島と生物の関係を教えてくれる
前半では、例えば以下のような疑問に答えてくれます。
・なぜ島の生態系は本土と違うのか
・なぜ固有種が多いのか
・なぜ泳げない生き物が生息しているのか etc.
島には大陸島と海洋島の2種類があって生物の定着や進化の過程が異なるだとか、植物が数百kmも海を渡れる理由だとか、
理解してしまえばカンタンなことですが、説明されるまでは全く気付かないような内容が盛りだくさんです。
そして後半、前半で説明された内容を元にして、
・新しく生まれた島に、どのような順序で生態系が発展していくのか
というテーマが語られています。
重要なのは、一度生物相がリセットされている西之島は、「きっとこうなるだろう」という推測を実証していく絶好の機会になることだそうです。
風に飛ばされてきた地衣類、漂流した種子や昆虫、そして海鳥... どの生き物がどのような順番で定着し、繁栄と絶滅を繰り返しながら島の生態系が構築されていくのか、想像するだけでワクワクな気分になってきます。
NHKの番組で、調査員たちのハイテンションの理由も十分納得できます。
前回紹介した恐竜の本と同様、ユーモラスな文体は健在です。
そして、島の生態系には鳥が重要な役割を果たしているんだという、熱い想いも伝わってきました。
川上和人もう一冊「鳥肉以上、鳥学未満」
前回の記事で紹介した恐竜の本に続き、そのユーモラスな文体にすっかりハマってしまい、最近自分の中で川上和人ブームなので、勢いでもう一冊読んでしまいました。
こちらの本は、日々私達が食べている鶏肉を題材にして、鳥のカラダの仕組みを解説しようという内容。(毎度のことながら、斬新な切り口に脱帽)
一番印象に残ったのは、ポンジリと毛づくろいの関係。ポンジリは脂が多いが、鳥はポンジリから分泌される脂で毛づくろいをしているらしいです。
さらに、フラミンゴがピンク色なのは、この脂がピンク色(食べ物に由来している)であるのが理由だそうです。
また、スーパーで売られている鶏肉は若鶏なので、成鳥とは異なっているパーツがあるというのも面白かったです。
例えば、鳥の骨は軽量化のため内部が空洞になっているのですが、スーパーの鶏肉はまだ成鳥過程なのでまだ中空の構造が完成していない、という違いがあるらしいです。
忘年会で焼鳥が出てきた時、色々と披露したくなるような雑学が満載です。
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