5月は4月とほとんど似たような生活でした。
昔は引きこもり生活に憧れた時期もあったが、いざ実践してみると独特の苦痛を感じます。笑
来月からは少しずつ外出が認められるようなので、徐々に元に戻っていくことと思います。
(先月のまとめ)
電子立国日本の自叙伝
NHKスペシャル枠で放映された番組。
1991年当時の最先端の半導体技術を紹介すると共に、
何もない所から技術を開発し、産業を発展させるのがどういうことか、深く掘り下げていった作品です。
日本が発展途上国だった時代を知らない、今の時代の私たちには、とても深く考えさせられる番組でした。
製造時のごく微量な不純物や温度変化で特性が大きく変わってしまう半導体を、どうやって日本で産業化したのか、そのエピソードの内容に驚かされました。
一番衝撃的だったのが、アナログな針式の温度計で0.1℃レベルの測定をしようとした話。
単純に針が示す温度を読み取るだけでは、0.何℃という細かい温度を知ることができません。(現代なら熱電対とデジタル温度計ですぐに計測できますが、戦後まもない頃はそのようなものはもちろん無かったそうです)
そこで技術者達は、その針に光を当て、部屋の壁に反射させ、その反射光の位置を使って精度を上げました。
つまり、光のてこの原理を使って、微妙な温度変化を読み取る工夫を行っていたそうです。このような苦労と工夫を通じて、日本がこの分野で頭角を現したのだと思うと、感慨深いです。
番組を通じて、「日本は世界に追いついた。ではその次は?」という問いかけがなされていると感じました。
1991年の放送ですが、この問いかけは現在でも深く考えさせられます。
追いかける相手がいなくなった時、どのような考え方で次の行動を決めればいいのか。研究の世界では特に重要なテーマだと思います。
ちなみに、登場された西澤先生の本は後日手に取り、こちらの記事で紹介しました。
ライク・ア・ヴァージン
2013年に出版された、ヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソンによるインタビュー形式の自伝。
ブランソン氏の行動指針や考え方に勇気づけられます。
文章しかなく、しかも400ページとかなり厚い本でありますが、ブランソン氏のぶっ飛んだエピソードやユーモア溢れる文章のおかげで一気に読めました。
「新しいビジネスを思いつくのは、最悪のサービスを受けた時だ」という話が特に印象に残りました。
サービスの悪さに不満を漏らすのではなく、「自分だったらこういうサービスにしよう」と考えて、実行に移してしまうのです。
この突き抜けた前向きさが、秘訣の1つなのだと思います。
コロナ不況で大変な時期でありますが、このような前向きな発想が持てれば、逆にチャンスにもなるのかもしれないなと思います。
気持ちを切り替えたい時に推奨される一冊。
新 核融合への挑戦
あまりニュースにはならないですが、ITERという核融合発電の試験炉の国際共同プロジェクトが進んでいます。
なぜ数十年間も研究されているにも関わらず実用化に時間がかかっているのか、なぜ炉の形があんなにも独特なのか、という疑問を常々感じていましたが、そういった疑問を解いてくれた一冊。
実用化のための技術的ハードルの内容や、そのハードルの1つである高温プラズマ制御技術を日本がリードしていることなど、核融合発電の道すじがよく分かりました。
また、ITERの構想が1980年代から存在していることに驚きました。
30年以上経った今、ようやく試験炉が完成に近づいていると思うと胸が熱くなります。